●高度情報社会とセキュリティマネジメント
日本セキュリティ・マネジメント学会は、1986年5月、情報システムのセキュリティ全般に関する学際的、業際的な調査研究を実施し、より健全な高度情報社会の構築に貢献することを目的に設立されました。以来、セキュリティに関連する分野の諸問題について、大会、講演会、学会誌、機関紙および研究会活動を通じ、理論的かつ実践的な検討を行ってまいりました。
●高まるセキュリティマネジメント高度化の要請
高度情報社会の実現に向けて、セキュリティマネジメントにおいても理論と実践面の両面から高度化が求められています。政府は、情報セキュリティ総合戦略を掲げ、IT戦略本部に、「情報セキュリティ政策会議」を設置し、政府全体の情報セキュリティ対策の統一的・横断的な強化体制整備として内閣官房に「国家情報セキュリティセンター」の設置を決め、政府・自治体を中心とする公的部門での情報セキュリティの確保を精力的に進めています。民間企業もまた、個人情報漏洩事件の頻発や個人情報保護法の施行をうけて、あるいは、不正競争防止法の改正や米国企業改革法などの影響もあり、情報セキュリティ対策に本格的に取り組み始めました。経営者にもこれからの時代、情報セキュリティマネジメントなくして事業の発展は難しいことが理解されてきたといえるでしょう。
しかし、このような政府や企業の取り組みが具体的な成果をあげるには、まだ学問的に解明しなければならない研究課題は数多く残されています。
●学際的な取り組みの重要性
セキュリティマネジメントの高度化には、工学、理学、法学、社会学、経営学、倫理学、などさまざまな学問分野にまたがる数多くの研究課題を学際的に解決していかなければなりません。企業や団体が抱える情報セキュリティマネジメントの各種課題を解明しその解決策を提供する応用研究の更なる発展には、その基礎となる学問分野の理論研究の進展がなければなりません。
学際的な取り組みを強化するには、その中核となり幅広い分野に影響を与えるセキュリティマネジメントの統一的な基礎理論を打ち立てることが今求められているといえるでしょう。この基礎理論は、各学問分野に明確な研究課題を投げかけることとなり、関連する学問分野の先端的研究との相互作用でまさにセキュリティマネジメントの理論研究、応用研究が学際的に発展していくことになるでしょう。
●当学会の役割と使命
日本セキュリティ・マネジメント学会の使命とは、学際と業際の両面からセキュリティマネジメントの研究を加速し、その研究成果を高度情報社会の発展に生かして行くことに他なりません。
学際面の中心たる統一基礎理論への求心力と、業際面の核となる使命感の共有とを機軸に、多彩な研究者、実務家が集い、互いの専門性を尊重しつつ、刺激しあい、新たな理論や方法論を発展させる場として、社会に貢献して行くものであります。
どうか意義ある学会活動をご理解いただき、ご入会くださるよう、心よりおすすめいたします。