第26巻 第3号 2013年1月 |
巻頭言 新たな情報セキュリティリスクに挑むJSSMへ 長尾 慎一郎… 1 研究論文
児玉 晴男… 3 研究ノート DDoS攻撃者によるIPトレースバックに対する
川端 良樹、喜多 義弘、油田 健太郎、山場 久昭、
解説 Thoughts on safety and
security
Herr. Klaus-Dieter Zundorf…33
概要情報セキュリティ会計の紹介
大木 榮二郎、田村 仁一、清水 惠子…41
ニュースレター ………………………………………………53 |
研究論文
Research
papers
情報の開示と不開示との相関性からの判断基準 Criteria from the Correlation between Disclosure and Nondisclosure
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放送大学ICT活用・遠隔教育センター/ 総合研究大学院大学文化科学研究科 児 玉 晴 男 Center of ICT and Distance Education, The Open
University of Japan/ |
要 旨 情報公開制度では,不開示情報が記録されている場合を除いて,原則として開示しなければならない.その秘密性で共通する不開示情報に含まれる情報は,中立性と客観的な理解・解釈により,公開性が判断される対象になる.ところが,緊急性を要する場合,たとえば東日本大震災の緊急地震情報,津波情報,それら自然災害による原子力発電所の事故に関する情報は,その波及効果をも考慮して情報の開示の可否の判断にゆらぎが生じた.さらに,電子化された機密性の高い情報は,ハッカー(hacker)による不正アクセスによる情報の漏洩やウィキリークス(WikiLeaks)による内部告発等による情報の保持者の意に沿わない情報の漏洩もありうる.ここに,情報公開制度の枠外も含めた情報の公開性と秘密性という構図から,情報公開制度における情報の開示と不開示との関係からの判断基準が求められる.本稿は,開示情報と不開示情報における情報の公開性と秘密性に相補性を見いだし,通常時だけでなく緊急時においても適用が可能な情報の開示と不開示との相関性(情報の重ね合わせ,情報の非対称性)からの判断基準について考究する。
キーワード 開示情報,不開示情報,知的財産,公開性,秘密性,相補性
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研究ノート
Research note
解説
Commentaries
Thoughts on safety and security– Their language and history, past and present– |
Herr. Klaus-Dieter Zundorf |
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情報セキュリティ会計の紹介Introduction of Information Security Accounting |
Faculty of Informatics, Kogakuin University Eijiroh OHKI 有限責任監査法人トーマツ 田 村 仁 一 Deloitte Touche Tohmatsu LLC Jinichi TAMURA 三井物産セキュアディレクション株式会社 清 水 惠 子 Mitsui Bussan Secure Directions, Inc. Keiko SHIMIZU |
要 旨 情報セキュリティガバナンスの重要性が増し、経営者が情報セキュリティの課題に能動的に取り組むことが求められるようになってきた。しかし、経営者にとって自組織の情報セキュリティの現状を的確に把握することはそう容易なことではない。情報セキュリティが経営者にとって分かりにくい要因は様々にあるが、その主要要因の一つは情報セキュリティが本質的に抱えている複雑さにあり、多面的で分野横断的な取り組みを的確に組み合わせて総合的に評価しなければならないことにある。そこで、企業の情報セキュリティの多面的な取り組みの総合的な評価を、経営者にとってなじみの深い会計報告の様式に表現することで、経営者が情報セキュリティ施策の意思決定に利用可能な枠組みにまとめたのが「情報セキュリティ会計」である。 この枠組みは、企業の情報資産を特定し、その資産にかかわる潜在リスクを貨幣価値で評価するとともに、同時に企業が構築した情報セキュリティ対策のリスク対応力を貨幣価値で評価し、潜在的なリスク総量とリスクへの対応力の総量とのバランスを比較検討することを中核とする経営指標を提供する。この枠組みは、検証可能性、分析可能性、比較可能性の三つの観点からも、具体性のある経営ツールと位置付けることができる。
キーワード 情報セキュリティ会計、情報セキュリティバランスシート、リスク対策値、セキュリティ ------------------------------------------------------------------------------------ |